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終末期ケア専門士ってどんな資格?取得するメリットや実際の働き方について紹介!

2024年6月14日

解決できる悩み

  • 終末期ケア専門士ってどんな資格?
  • かかる費用はいくら?
  • 資格を取得するメリットってなに?
  • 実際の働き方ってどんな感じ?

患者さんの最期に寄り添う中で、「もっと自分にできることはないか」「自分のケアは本当にこれで良いのだろうか」と終末期ケアに関する知識をより深めたいと感じる瞬間はありませんか?

そんな向上心のあるあなたにオススメなのが『終末期ケア専門士』です。私自身、2023年にこの資格を取得し、知識だけでなくケアに対する視点が変わる経験をしました。

本記事では終末期ケア専門士の概要や取得するメリット、資格取得後の実際の働き方について詳しく紹介していきます。

終末期ケアに興味がある方、資格取得を検討している方は最後までご覧ください。

終末期ケア専門士を取得するための勉強方法は下記の記事で紹介しています。

終末期ケア専門士ってどんな資格?

「終末期ケア専門士」は、一般社団法人日本終末期ケア協会(JTCA)が2020年に設立した比較的新しい民間資格です。

終末期ケア専門士は、臨床ケアにおけるスペシャリストです。患者さんや利用者さんの近くでエビデンスに基づいたケアの実践をおこない、「支える人」を目指す資格です。

「終末期に特化した専門的な資格」というイメージを持つかもしれませんが、それだけではありません。

資格取得の中で得られる知識には、人の価値観に寄り添うコミュニケーション、意思決定支援のプロセスといった年齢や疾患を問わず、全ての患者さん対して行われる日々のケアに不可欠なスキルです。

終末期ケアの本質を学ぶことは、日々の看護の質そのものを向上させることに直結します。

終末期ケア専門士は意味がないのか?

終末期ケア専門士は診療報酬や介護報酬上の加算対象となる資格ではありません。

そのため「意味がないのでは?」と思われてしまうかもしれませんが、終末期ケア専門士を取得する価値は十分にあります。

現在の日本では高齢者の増加により、死亡者数が急増し人口が少なくなる『多死社会』が到来していると言えます。(令和5年 人口動態統計月報年計の概況を参照)

今後も死亡者数が増加していくことを考慮すると、終末期ケアの需要は今後ますます高まっていくことが確実視されています。

エビデンスに基づいた質の高い終末期ケアを提供できる専門家の存在は、医療・介護現場において重要視されていくと考えられます。

患者さんは不安や心配を抱えながら過ごしています。終末期ケア専門士は心強い存在になるでしょう。

終末期ケア専門士の試験概要

終末期ケア専門士の試験概要について紹介します。

受験資格:2年以上の実務経験がある医療従事者

受験要項は【終末期ケア専門士 受験要項】を参照してください。

受験資格基準経験年2年以上
該当資格名医師
歯科医師
看護師
保健師
薬剤師
理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
臨床工学技士
歯科衛生士
管理栄養士
介護支援専門員
社会福祉士精神保健福祉士
臨床検査技師
公認心理師
救急救命士
放射線技師
介護福祉士
准看護師
臨床心理士
公式サイト:日本終末期ケア協会 JTCA

試験の合格率:2024年は合格率65.5%

これまでの終末期ケア専門士の合格率は下記の通りです。

開催年受験者数合格者数合格率(%)
第4回(2023年)4,4512,72061.1
第5回(2024年)5,3533,51265.6
公式サイト:日本終末期ケア協会 JCTA

終末期ケア専門士の合格率は、例年60%台で推移しています。

この数字を見て、私が率直に感じたのは「意外と低い」という印象です。10人受ければ4人近くが不合格になる、決して簡単な試験ではないことが分かります。

合格率が低い傾向にある背景として、受験資格を持つ職種の幅広さが考えられます。

看護師や介護福祉士だけでなく、ケアマネジャーやソーシャルワーカーなど、多様な専門職が挑戦するため、それぞれの専門領域で求められる知識のスタートラインが異なります。

つまり、自分の専門分野の知識だけでなく、終末期ケア全体をきちんと学んでいるかどうかが、合否の大きな分かれ目になると推測されます。

この合格率が示すのは、一夜漬けのような勉強では歯が立たない、本物の知識が試される資格だということ。受験者数や合格者数は増加傾向ですが、手は抜かずしっかり勉強をしておきましょう。

私の経験則ですが、看護師は終末期ケアに関わることが多くいので少し有利かもしれません。

試験のスケジュール:申し込み期限は2025年9月20日まで

2025年の試験スケジュールについて記載します。

申込期間2025年3月28日(金)~9月20日(土)
試験日時2025年10月10日(金)~10月31日(金)
結果通知2025年12月下旬
公式サイト:終末期ケア協会 JTCA

試験会場:試験はCBT試験で実施

受験会場は全国のテストセンターから選んで予約し、パソコン試験(CBT試験)で行われます。

パソコン試験 (CBT試験)とは?

コンピュータを使った試験方式のことでです。1年間を通じて好きな日時で受験でき、試験会場となるテストセンターも全国に300ヶ所以上の会場があるので、従来のように試験のために遠征する必要がなくなります。

私は地方住みですが、家から30分位の場所に試験会場がありました。

CBT試験の方法や会場の様子を知りたい方は下記の記事で紹介しています。

終末期ケア専門士の資格取得にかかる費用

資格取得を目指す上で、具体的にかかる費用を把握しておくことは重要です。

2025年の受験にかかる費用は次の通りです。

  • 受験料:11,000円(税込12,100円)
  • 認定登録料:11,000円(税込12,100円)

上記の費用に加え、参考書や予想問題集を購入すると、さらに費用がかかってきます。

合格までに合計でどれくらい費用が掛かるのか知りたい方もいると思うので、私が実際に支払った金額を基に「初期費用」と「維持費用」に分けてお伝えします。

筆者が実際にかかった費用

試験に合格し、資格を登録するまでにかかった費用は次の通りです。

初期費用

  • 受験料: 11,385円(税込・送料込)
  • 公式テキスト: 4,800円(税込・送料込)
  • 予想問題集: 5,113円(税込・送料込)
  • 認定登録料: 11,385円(税込・送料込)※合格後に必要

私が試験にかかった初期費用の合計は、32,683円でした。

そして、資格を更新するためには、日本終末期ケア協会の会員サービス『ココリンク』へ加入し単位を取得する必要があります。

維持費用

  • 月額会費:500円

ココリンク加入者の更新費は原則無料です。

所定の単位を取得できていれば、システム上で自動的に更新できます。ココリンク非加入者は更新手数料として5,500円が発生します。 (公式サイト:終末期ケア専門士受験資格・概要について参照)

2025年の受験や参考書の費用は値上がりしているので、2023年時より費用がかかる可能性があります。

資格取得後のステップアップ:上級資格を目指せる

終末期ケア専門士は、質の高い終末期ケアを実践するために非常に重要な第一歩と言えますが、それだけでは終わりません。

日本終末期ケア協会(JTCA)は、専門性をさらに深めリーダーシップを発揮するための「上位資格」を用意しています。

もしあなたが将来的にチームを指導する立場などを目指したいと考えているのなら、次のようなステップアップを検討する価値があります。

終末期ケア専門士の上級資格を2つ紹介していきます。

終末期ケア上級専門士

終末期ケア上級専門士とは?

終末期ケアの学識や知識の習得だけにとどまらず、チーム全体を導き組織のケアの質を向上させる「リーダー」を目指すための上級資格です。

求められるのは、個人の知識や技術だけではなく、チームマネジメントや後輩指導を通じて組織と人材を「育てる」能力。まさに、現場の核となる実践力が問われます。

資格取得後は、協会からのサポートを受けることができます。院内や地域で勉強会を主催したり、専門家として情報発信を行ったりと活躍の場を大きく広げることができます。

興味がある方は 【終末期ケア上級専門士 受験要項】を確認してみてください。

JTCAアドバンスインストラクター

JTCAアドバンスインストラクターとは?

終末期ケアに関する高度な専門知識を自施設内に留まらず、地域社会全体へと広めていく「教育者・指導者」を目指すための最上位資格です。

「上級専門士」が施設内のチームを育てるリーダーであるのに対し、「JTCAアドバンスインストラクター」は施設や職種の垣根を越え、地域貢献活動を通じて社会に働きかける「伝える人」を目指します。

終末期ケアに関する高い志を持つ方にとっての、目指すべき最終ゴールと言えるでしょう。

終末期ケア専門士を取得するメリット

資格の勉強は大変でしたが、終末期ケア専門士に認定されたことで得られたメリットは多いです。

ここでは、資格取得後に私自身が感じた具体的なメリットを3つを紹介していきます。

終末期ケアに関する専門的な知識を習得できる

資格の学習を通じて得られる最大のメリットは、終末期ケアに関する専門的な知識が習得できることです。

例えば、終末期特有の治療だけでなく、日常的な緩和ケア、近年特に重要視される意思決定支援、そして残されるご家族へのケアまで、非常に多岐にわたります。

終末期ケアには唯一の「正解」はありません。エビデンスが確立されていない領域もあり迷いも生じますが、だからこそ専門的な知識が重要になります。

学習で得た知識は、あなたに「ケアの根拠」を与えてくれます。

エビデンスがある場面では自信を持って実践でき、明確な答えがない場面でも、患者さんにとっての最善を考えることができるようになっていきます。

ココリンクで継続学習ができる

終末期ケア専門士に合格すると、ココリンクに入会する権利を得ることができます。

ココリンクを利用する最大のメリットは、継続学習に必要なコンテンツをスマホなどのデバイスを使ってみることができることです。

  • 講義動画の視聴
    終末期ケアに関する講義やイベントのアーカイブ動画がいつでも視聴可能。豊富なコンテンツがスマホでも見れるので、スキマ時間を活用し勉強できる。
  • セミナー情報の集約
    協会や上級専門士が主催するオンライン・実地セミナーの検索から予約がココリンク内で完結する。

継続的な学習が不可欠な医療者の皆さんにとって、ココリンクを使えば日々の忙しさを言い訳にせず専門性をアップデートし続けることができます。

私は通勤時に音声だけ流し、ラジオ感覚で勉強を継続しています。

終末期ケア専門士と名乗れる

終末期ケア専門士の資格を取得すると、履歴書や名刺へ記載することができるようになります。

口頭で「終末期ケアに関心がある」と伝えるだけでなく、資格として明記することで、学習の意欲や専門知識を具体的に示すことができるようになります。

そのため、転職活動やキャリアアップの際にも有利に働く可能性があります。

さらに、合格者には認定バッジが授与されます。バッジを身につければ、終末期ケアに関する確かな知識を持つことを示す「信頼の証」となるでしょう。

ちなみにバッチの色は、終末期ケア専門士はシルバー、上級専門士はゴールドで異なります。

多死社会の到来により終末期ケアを提供できる人材の需要は、医療・介護現場の現場で需要が高まると思われます。

終末期ケア専門士の資格は、あなたのキャリアの強力な武器となり得ます。

例えば、病院であれば緩和ケア病棟や緩和ケアチームのリーダーとして。介護施設や訪問看護の現場では、利用者さんとそのご家族に寄り添うケアの中核を担う存在としてその専門性が求められるでしょう。

「自分の学びを、もっと患者さんのために活かしたい」「専門性を磨きチームに貢献したい」と考えているなら、資格の取得を機に、自分が本当に輝ける場所はどこなのか改めて考え直してみてはいかがでしょうか。

終末期ケア専門士を取得した後の働き方の変化

終末期ケア専門士は、診療報酬上の加算に直接繋がる資格ではありません。

終末期ケア専門士を取得した者の役割は、学習を通じて得た専門知識を目の前の患者さん一人ひとりに「還元」することにあります。

終末期の患者さんが抱える不安やニーズに対し、より的確かつ質の高いケアで応えることが重要です。

ありがたいことに、病棟でもその専門性が認められ、終末期ケアに関する相談を受けたり、「学習会を開催してほしい」と依頼される機会もいただいています。

取得した資格をどう活かすかは自分次第です。

まとめ

今回は、終末期ケア専門士の概要や具体的なメリットまで、私の実体験を交えて解説しました。

「多死社会」という大きな変化の中で、この資格が持つ意味は、年々大きく変わっていくと考えられます。

資格取得で得られるメリットには履歴書に書けるというだけではありません。

同僚から頼られ、チームのケアの質を高め、そして何より患者さんの最期の時間により深く関われるようになることです。

あなたの「患者さんにもっと寄り添いたい」という想いを確かな形にする第一歩になります。興味がある方はぜひ終末期ケア専門士へ挑戦してみてください。

終末期ケア専門士を3ヶ月の勉強で合格した方法は下記の記事で紹介しています。

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